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サントリー白州醸造所訪問! -Part 2-


 ブランデーはぶどうから造られる。んでもってウィスキーは麦から造られる。要は、ブランデーはワインで、ウィスキーはビールから造られるのである、と私は思っていたのだが、それは間違いであった。確かに麦汁をつくるというところは同じなのであるが、その作り方や考え方はビールとまったく異なるものであった。

 まずは、ウィスキーづくりの工程を紹介しよう。白州蒸溜所では、ピュアモルトウィスキーもブレンデッドウィスキーも下記のように8つの工程を通して造られる。

 まぁ、いいや。蒸溜所の話に戻ろう。

 ちなみに用語の使い方が難しいのであるが、ピュアモルトウィスキーとシングルモルトは現在、まったく同じものであるのだそうだ。(昔、スコッチのシングルモルトといえば、ひとつの蒸溜所で造られたひとつの種類のモルトをそのまま瓶詰めしたものを指していたが、今日ではスコッチでもひとつの蒸溜所で造られた複数のモルトをある程度ブレンドするそうである。しかし、それはもともとひとつのモルトであるといえるため、いまだシングルモルトと言っているらしい。シングルモルトの表記に法的な規制はないが、いろいろなしがらみでシングルモルトとは表記していないらしい。しかし、造りとしては、シングルモルトとまったく同じなものなのだそうだ。ただこの辺はいろいろ意見がわかれるところなので、各自勉強して欲しい。ちなみにブレンデッドとは、複数の蒸溜所のモルトを混ぜたり、穀物(グレーン)でつくったウィスキーを混ぜたりすることである。)

ウィスキーの製造工程
1. 製麦

2. 仕込み

3. 発酵

4. 蒸溜

5. 貯蔵

6. ブレンド

7. 後熟

8. 瓶詰め

では、これら各工程について解説していこう。


1. 製麦  製麦は麦を発芽させ、デンプンを糖分に変えるアミラーゼが生成されたところで発芽を止め、麦芽(モルト)をつくる工程である。

 ビール醸造の場合では、発芽を止める際に麦芽を焙燥するが、ウィスキーの場合はどうなのか。自然乾燥なのか?焙燥するなら何度でするのか?ピートを燃やして乾燥させるケースもあるので、たぶん焙燥であると思うのだが、時間がなくてこれらは聞くことができなかった。。。

2. 仕込み
仕込み槽 右の写真は、仕込み槽である。製麦されたモルトを粉砕し、温水と共にここへ入れるのである。ちなみに温度は63℃で、約30分かけてデンプンを糖化する。

 なぜ63℃なのか。以前にも話したが、糖化をする際、デキストリンなどの非発酵糖分とマルトースなどの発酵糖分がうまれる。63℃は、この発酵糖分を造るのに最適な温度なのである。

 ちなみにビールづくりにおいては、デキストリンなどの非発酵糖分をどれくらいつくるかということも重要な過程である。この非発酵糖分が味わいに大きな影響を与えるからだ。そのため、デキストリンがつくられる67℃くらいまで温度を高めたりする必要がある。

 しかし、ウィスキーのモルトは、アルコールの分解率を高めるために、できるだけ多くの発酵糖分を造る必要がある。そのため、つねに63℃で30分という時間で糖化を行なうのである。ここがビールづくりとはまったく違うところである。

 ただ、私はデキストリンなどの糖分もきっとウィスキーの味わいに影響を与える成分なのではないかと思っているのだが、これは時間がなくて質問することができなかった。

 糖化が終わると麦汁を発酵槽へ移す必要がある。この際、ビール醸造では、スパージングといって麦の殻に残った糖分に温水をかけて取り出す、という過程がある。ウィスキーづくりでは、スパージングはしないらしいが、この糖化液を取り出す作業は非常に難しい作業であるらしい。

 麦汁が濃く、栄養過多であると味に透明さがなくなるらしい。そして麦汁が薄いと味にリッチさがなくなる。熟成後の味のバランスがここで決まってしまうということだ。そして一般的に糖分や栄養分は麦汁の下の方に溜る傾向にある。麦汁を撹拌しながら、糖分や栄養分を適切にバランス化して取り出すのは熟練の技がいるということである。

3. 発酵
発酵槽 前の工程で造られた麦汁は、右の写真の発酵槽に移される。つまり、ここで酵母が加えられ、アルコールと炭酸ガスに分解されるのである。

 しかし、この写真を良く見て欲しい。一般的にビールの発酵槽がステンレスであるのに対して、この槽は木でできている。

 木には雑菌がつきやすい。雑菌は麦汁を犯し、味を損ねる大きな原因となる。そのため、木桶はビール醸造には、今日では、ベルギーのランビックタイプを除いて使われることはない。雑菌に犯された槽は、すべて捨てることになるため、中世のビール醸造では木桶の洗浄が一番大変な作業であったらしい。

 では、ウィスキーではなぜ木桶を使っているのか。ウィスキーでは、醸造が終わった後、アルコールを蒸溜し、樽熟成するが、その際、純粋なアルコールだけでは熟成が進まない。アルコール以外の余分な成分が優れた熟成を促すのである。醸造に木桶を使うことで、木に住み着いている乳酸をはじめとするミクロフローラ(環境微生物)が醸造酒の中に加わり、後々の熟成に大きな役割を果たすからである。

 もちろん、木に住み着いた微生物の中には、悪い影響を与えるものもいる。その対策は……酵母を大量に加えることで、醸造に良い影響を与える成分を強制的に増やしているとのことだ。

 ちなみに酵母は基本的にエール(上面発酵)酵母や、サントリーが独自に培養しているウィスキー専用酵母など、複数の酵母を混ぜて使用しているらしい。下面ではなく、上面発酵酵母を使用するのは、エステルやカプロン酸など、後々の熟成に必要になる芳香が醸し出されるからである。3日間で約7%のアルコール液が出来上がる。

 ちなみにちなみに、酵母の活動は、増殖期、成熟期、老化期、死滅期の4ステージに分けられる。増殖期と成熟期では、酵母は麦汁中にある糖分や栄養分を食べ、アルコール分解を行なっている。しかし、糖分や栄養分が少なくなり、老化期になると、酵母は自分の中にある栄養分を食べはじめる。この期間中にもウィスキーに必要なさまざまな香味成分がつくられるらしい。そして最も重要なのは、死滅期である。死滅期になると、酵母は、乳酸菌などのミクロフローラを生みだすようになる。先にも述べたが、ミクロフローラは熟成中の味を作り出す重要な役割を果たす。

 ビール醸造においては、酵母を死滅期まで残しておくことはない。オフフレーバーを作り出す原因になるからである。しかし、ウィスキーづくりにおいては、この過程がすごく重要なのである。

 すごく長かったが、この3工程目までが、醸造の過程である。ウィスキーの味は、この醸造過程でほとんど決まるといって良いらしい。そのため、白州では、この醸造過程(特に麦汁の成分チェックや醸造酒段階の成分チェック)にコンピュータを用いて、徹底した管理を行なっているのである(写真:whisky-4.jpg)。もちろん、最後には訓練を受けた人間が官能評価チェックをする。この管理部門で働く人は、才能をもった一部の人間しか働くことが許されない。そしてその中でもとりわけ優れた才能の持ち主がブレンダーになれるのである。

 ちなみにサントリーを愛する白州醸造所の工場長、長井氏は、「スコッチの連中は、いまだ熟成の過程が一番大事だなんて言っている。ミクロフローラについてはほとんどわかってない。つーか、その言葉さえ知らないヤツまでいる始末。サントリーはいまや世界一のウィスキーメーカーじゃ〜〜!!」と語っていた。

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