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サントリー白州醸造所訪問! -Part 1-山梨県北巨摩郡白州町にあるサントリー白州蒸溜所に行ってきた。ここは南アルプス、甲斐駒ヶ岳のふもと。CMでお馴染みの『南アルプスの天然水』を採取している場所でもある。
いきなり、ウィスキーの飲み方になってしまうが、これはすごいことである。ウィスキーの水割り。これは、醸造に利用された仕込み水を使うことが理想とされているが、スコッチウィスキーを飲む場合、その仕込み水はまず手に入らない。もちろん不可能ではないが、一般にはまず無理と言ってだろう。しかし、この白州ウィスキーは、その仕込み水と、コンビニでも購入可能な『南アルプスの天然水』が同じものなのである。白州ウィスキーを使えば、究極の水割りがいとも簡単に実現できてしまうのである。 まぁ、いいや。蒸溜所の話に戻ろう。 赤松の森の中、約25万坪の敷地面積を誇るこの蒸溜所は、自然と同居した形で建設されている。敷地内には、民間企業がはじめて設けたバードサンクチュアリ(野鳥たちの聖域)があるほどだ。まぁ、これはウィスキーづくりには当然のことらしい。清らかな水、清らかな空気がなければ、適切な醸造、適切な熟成が行なわれないからである。 このような豊かな自然環境で作られている白州のウィスキー。同蒸溜所の工場長である長井氏は、「白州は、この赤松の森の精気を吸い込んだ世界最高峰のウィスキー」であると自負する。 まず、清らかな水について。 甲斐駒ヶ岳の花崗岩層をくぐり抜けて流れる水は、環境庁が選定した「日本の名水100選」のひとつ。これだけでもすごい。が、言ってしまえば、地層が水を綺麗にして行くことは周知の事実である。では、白州がなぜウィスキーのための名水でもあるのか。それは、蒸溜所を埋め尽くす赤松の森に秘密があると言う。
ウィスキーの本場、スコッチでは、モルトの焙燥にピート(炭泥)を使用している。いわゆるあのすモーキーフレーバーを作り出す原材料となっているものである。ピートはもともと焙燥の燃料として使用されていたのだが、実は、ウィスキーには必要のない雑味やオフフレーバーを取り除く作用があるのだそうだ。香り付けだけではなく、こうした作用があるからこそスコッチのウィスキーは名品として世に知られているのであるが、白州の赤松の森にも同じような効果があるのだそうだ。蓄積された落葉の間を水が通り抜けることで、オフフレーバーの要因になる成分が取り除かれるのであるという。また、マグネシウムの量やそれをどれだけコントロールしているのかなど、詳しく聞くことができなかったが、白州の水は硬度30の軟水であることも、きめ細やかなフレーバーを醸しだす要因となっている、とのことだ。硬度30は、スコッチの中でも名高いスペイリバーと同じであると言う。 次に、清らかな空気。 大気が綺麗でなければ、その雫たる水も綺麗であるはずがない。それに加え、森林から溢れ出る清らかな香りが決め手となる(らしい)。 ウィスキーを樽熟成させると、いわゆる『天使の分け前』が生じる。冬、樽は乾燥し、板と板の間に若干の隙間ができる。その際、ウィスキーがわずかに流れ落ちる。一年で約2〜3%のウィスキーが流れ落ちるといわれている。これが、Angel's Shareの正体だったのである。天使のための飲み口である板と板の隙間は、空気の通り口でもある。ここから森の精気や香りが樽の中に入り込み、より豊潤でより複雑な熟成を促進させるのだそうだ。 んな、アホな?確かに私には、ウィスキーの中から森の香りを探し当てることはできないかもしれない。しかし、それは確実にアロマへの構成要素となり、味わいを高めているといえるだろう。 有名なエピソードを紹介しよう。かつてバランタインのマスターブレンダーであったジャック・ガウディにまつわる話である。(ちなみにブレンダーとは、ブレンデッド・ウィスキーのブレンド具合を決めたり、樽の中のウィスキーの品質管理を行なったりする職種である。また、下記のエピソードに出てくるノージングとは、ウィスキーの香りを鼻で嗅ぐことである。ブレンダーは、ブレンドする際、ウィスキーを実際にテイスティングしたりはしない。約50〜100種類ものウィスキーを飲んでいたら、酔っぱらって仕事にならないからである。そのかわり、鼻が人並みはずれて優れている。現在のバランタインのマスターブレンダーであるロバート・ヒックスは、4,000種類以上の香りを記憶し、飲料水中の石灰分をPPM(百万分の1)単位で嗅ぎ分けるという。下記エピソードのジャック・ガウディは、ロバート・ヒックスの師匠にあたり、伝説のブレンダーといわれている人物である) 『ジャック・ガウディはある日、あるシングルモルトをノージングしていて眉をひそめた。そのモルトに今までなかった香りが混ざっていたからである。その香りはある種の草のアロマだった。ウィスキーに草のような香りは珍しくないがその匂いはもっと特殊なものだった。そのモルトはハイランド最北端、プルトニー蒸溜所のもの。ほのかな甘み。ピートの香り。海岸の潮の香り。確かにプルトニー蒸溜所の特徴がちゃんと備わっている。しかし、確かにどこかが違う。ある野の花の香りが確実に混ざっている。ジャックは電話をとり、当時のバランタイン社の社長トム・スコットに報告し相談した。トムはプルトニー蒸溜所の品質管理の厳格さをよく知っている。だからいくら伝説のブレンダーの言葉でもそれは信じられなかった。ジャックが混ざっていると確信していたのはサクラソウの香りだった。サクラソウは、スコットランドでは希少な種で、ほとんど目にすることはない。園芸に詳しかったトムは笑い飛ばした。トムは言った「ジャック、プルトニーに野の花が入り込むなんてあり得ないことだ」。ジャック「悪いが、それがあり得るんだ」。ジャックは特別の調査チームをつくり、プルトニー蒸溜所付近を調べた。しかし、サクラソウに似た植物すら発見できなかった。最後に蒸溜所の水源を調べることにした。そしてとうとうヘンブリッグス湖から蒸溜所へ通じる水路でサクラソウの群生を見つけたのである。この群生は学術的にも貴重なものだったため、それ以後保護地区になっている』(ザ・スコッチ グレアム・ノウン著 TBSブリタニカ刊) まぁ、この例はあってはいけない香りを見つけた、という話であるが、水に付いた花の香りが蒸溜を繰返した後のモルトに確実に残っていた、ともいえる。この赤松の森の香気成分もきっと白州のウィスキーに入り込んでいて、その旨さをつくりだしているいち要素となっているのだろう。 ぜんぜん、ウィスキーづくりの話してないけど……つづく。(ちなみに上記の写真はウィスキー博物館の外観とその中。時間なくてここは見れなかった。) 話の続きへ行く! |
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