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世界のビール -イギリス編-日本ではビールの季節といえば夏である。キンキンに冷えたグラスにキキリッと引き締まった生ビールを飲むのはたまらない、というわけだ。(ま、私は個人的には、湿度の高い日本の夏にビールは似合わないと常々思っているのだが、それはこの際おいておこう。) しかし、ビールはキンキンに冷えているものという日本の常識を覆すようなビールをサーブする国もある。それがイギリスである。 この国際時代、ほぼ周知の事実とはなりつつあるが、イギリスでは生温いビールが主流であると言われている。しかも炭酸が効いておらず、その触感も日本のものとは異質なものであるらしい。 まぁ、これはほぼ事実であるが、間違いでもある。私がイギリスのパブを訪れた時も、客のほとんどが泡のない黒いビールを飲んでいた。店には4種類のサーバ−があり、そのうちのひとつをオーダーした。 Courage Best Bitter。うまいビールと聞いていたので注文したが、サーバ−から注がれたこのビールも黒くて泡がない。おそるおそる飲んだ第一印象は、やはりイギリス人はビールをあまり冷やさずに飲むのかというものだった。しかし、決して生温いわけではない。室温より低いくらいの温度、つまり16℃前後だといえるだろう。正確にはかったわけではないが、通常サーブされる赤ワインと変わらないか、それよりも低いくらいであった。 しかし、それでもキンキンに冷やしたビールに慣れている私たち日本人には異質なものと感じられるのかもしれない。それで生温いと言われているのだと考えられる。ただし、イギリスは湿度が低く比較的涼しい気候である。こうした状態では、ビールを冷やすことイコールくぁ〜うめぇ〜、というようには決してつながらないのである。つまり、キンキンに冷やすことを体が求めないのだ。 私は以前、新宿のバーで冷やしてないギネスをオーダーしたことがある。店員は「えっ、ほんとですか?」と聞き返して来た。それでも注文すると、なんとその店員は外に出してほぼ30℃近くになった超生温いギネスを出してきた。在庫室はせまくて温度が上がりやすい。あるいは、冷蔵庫の近くにおいてあり、その熱で温度があがった。などが理由として考えられるが、こういう店のせいで、日本では冷やしてないビールイコール生温いと勘違いされて来たのだろうなぁと実感した。 イギリスでは冷やしてはないが、16℃前後でちゃんと温度管理をしているのである。そして味の面からいえば、イギリスで提供されるエールビールは、日本でよく飲まれているラガービールとは違って高い温度でその特徴が発揮されるビールでもあるから、そのような温度で飲まれているのである。 などと言いつつ、この私も温度のことと炭酸含有量の少なさのためか、あまりうまくないという印象を受けてしまった。次に注文したDirectorsというペールエールも同じだった。 事前に知っていたとはいえ、バーにいるほとんどの客がこのタイプのビールを普通に飲んでいる光景には、やはり少なからずカルチャーショックを覚えた。慣れと言うのは恐ろしい。日本では赤ワインだって冷やしたくなる。しかし、それが風土というものではないだろうか。 ちなみに日本の夏で、ビールを飲むなら酸味の効いた『ベルリナーヴァイツ』や『ヴァイツェンビール(小麦ビール)』が良いだろう。『ベルギーホワイト』の“ヒューガルデン”などもお薦めである。 ―――END |
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