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カルバドスを作るカルバドス。フランスのノルマンディ・ペイドージュ地方で作られる、リンゴのブランデーである。 何の本を読んだのか忘れてしまったのだが、カルバドスはその昔、アルコールを蒸溜するのではなく、リンゴの醸造酒(シードル)の水分を凍らせて、アルコールを取り出して作っていたそうだ。こういう話しをとあるバーで、すきやばし次郎のすぐ近くにある有名な焼き鳥屋さんのオーナーと話していたら、「それはおかしいですねぇ。ビールを冷凍庫に入れると液体が全部、凍ってしまいますよ」と言われ、ヘコまされてしまった。 悔しいけど、確かにそうだよなぁとその場は引き下がったのだが、翌日、シラフの状態でよくよく考えてみると、ビールやリンゴ酒は水分が多いので全部が凍っているように見えるが、アルコール分や糖分は実際には凍っていないのではないか。ポカリスエットを水筒に入れて凍らせて遠足に持って行って飲もうとしたら、最初に糖分だけ溶け出してしまい、めちゃくちゃ甘かったという体験をしたことがある(残った氷には味がほとんど残っていない)。だから、まず全体を凍らせて、最初に溶け出て来た液体だけを取り出せば、蒸留されたようなカルバドスになるのではないか。そう考え、実際に試してみることにした。 まず、750mlのシードル(リンゴ酒)を冷凍庫で完全に凍らせてから外に出し、数分待ち、溶け出た液体を採取する。すでに200mlくらいに減っているだろうか。このままでは、まだ水分が多いと思われるので、また冷凍庫で凍らせ、溶かし、より濃厚な液体を取り出す。こうした作業を4回繰り替えして、最後にショットグラス一杯分のカルバドスを獲得した。 使用したシードルは、ヴァル・ド・ランス クリュ・ブルトンの750mlボトル。これは、アルコール分が4.5%あるから、正確にアルコールだけ取りだせれば、20.25mlになっているハズである。が、今回の実験で取り出したのは、それよりも少なかったので、チト濃縮しすぎてしまったようだ(というか、アルコールの融点を計測したりして、ちゃんとやっているワケではないので、感覚的にやっているいい加減さが露呈してしまったワケなのであるが・・・)。 さて、気を取り直して、味をチェックしてみる。う〜ん、なかなか濃厚な味だ。きっとアルコール度数はそれほど高くないだろう。しかし、機械で蒸溜されたカルバドスとはまったく違う、凝縮された甘味と適度な酸味がある。一本筋の通った素晴らしい味であった。残念なことは、機械蒸溜ではうまいこと取り除かれる雑味・渋みが残ってしまっていることだ。甘味や酸味と共に、雑味も濃縮されてしまうのだろう。シードルを凍らせて、アルコールだけ取り出すという方法では、この問題はきっと避けられまい。そして、高アルコールに濃縮することもできないだろう。 雑味はあっても、ベースとなる味はなかなか良いので、市販のカルバドスと1:1の割合でブレンドしてみた。雑味を少しでも薄めることと、アルコール補強することが目的である。結果は、これ最高! チト渋みは残るけれど、高アルコールかつ高甘味、そして適度の酸味があって、とても美味しいと思った。 結論として、昔はこういう方法でカルバドスを作っていたのかどうか。アルコールをキッチリ取り出すこともできないのに、他の水分を捨てるというようなもったいないことをするのか。さらに、高アルコールじゃないから、保存も効かない。わざわざそんなことをしていたのかどうか、疑惑はたくさんある。が、世界には、ビールを凍結し、氷をシャーベット状にして除去し、エキス分を濃縮するアイスビールという実際の例があるし、昔は、より甘いもの、より高いアルコールを求めていたのだから、作っていなかったという証拠が出ない限り、作っていなかったと断定しなくても良いだろう。ちなみにビールもこの方法で濃縮してみたが、ホップの苦味が強烈になり過ぎて、ぜんぜん美味しくなかった。ウィスキーはビールと同じ大麦の醸造酒をベースにしているといっても、やはり作り方からしてビールとまったく違うのだと思う。
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