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戸井の本マグロと鮭児


 市場見学の後、湯の川温泉へ向かう。
 ここから津軽海峡が見渡せる。
 海を目の前にして、左手のはるか前方に見える半島に大間がある。そこで日本最高の生の本マグロが漁獲されている。その手前、つまり北海道側に位置するのが、戸井である。戸井の本マグロも、手当てが非常に良いということで、近年、脚光を浴びている。
 思えば、マグロは津軽海峡をただひたすら泳いでいるだけであり、青森県側の人間が釣れば大間産となってランクが上がり、北海道側の人間が釣れば戸井産となってランクが下がるというのは、どうにも人間の余計な知識が産み出してしまった階級制度のような気がしてならない。豊後水道をはさんで、関サバと岬サバ(だっけ?)と区別されてしまうのと同じことだ。マーケティングが魚の値段を変えてしまうのである。
 というわけで、なんのことはない、青森でマグロに見向きもしなかったのは、どうせならまだそんなに人気の出ていない戸井産のマグロの方が良い物を安く味わえるんじゃないか、という魂胆があったからなのであった。
 湯の川では、戸井の本マグロを求めて、「木はら」という鮨屋をめざした。が、本日はお休み。ガビーン!である。お目当ての店がやっていなかったため、昼食を探す放浪の旅となってしまった。
 1時間半ほどさまよったあげく、結局、駅前の「幸寿司」に入る。どの程度のお店なのか、不安げにご主人と女将を見てしまったが、それは店側にとっても同じことだろう。はじめて来た客が、どんな悪態をつくハズレ客なのか、不安げにこちらを見つめているのだ。

許可証
幸寿司では、函館でとれる魚を中心に15カン頼んだ。めずらしいところでは、母"々カレイ。母に点々と書いてボボカレイというらしい(が、検索するとババカレイはあるんだけど、ボボカレイはなかった。聞き間違いか・・・?)。その他、函館名物のヤリイカ、ニシン、ハタハタ、八角なども東京では食べられないネタだろう。
最高の体験は、鮭児であった。鮭児の脂の質は、魚の脂の中でも最高級だろうと思う。よく大間の本鮪の大トロが旨い!などと評価されているようだが、私にはどうにも脂がきつ過ぎて下品な味わいだと思う。鮭児の脂の質は、それよりももっと繊細なのである。また単調な味わいのサーモンの刺身とも、まったく異なる。上質のバターのようなコクと深さがあるのだが、それでいて非常にキメ細やかなので下の上でとろけていく。こんなモン食っちまって、どうすんだろねと思った一品だった。
戸井の本マグロも頼んだが、これは最上のものではなかったと思う。味は良いのだが、たぶん小さいマグロだったので、マグロの良い酸味と香りが十分でなかった。やはり値の張るマグロは東京へ行ってしまうのではないだろうか・・・。しかし、ビールと突き出しが付いて、鮭児(1カン1500円)とその他14カンで、4500円は本当におトクだと思う。


函館の市電
函館の市電。路面電車っていうのがイイね。


最後の晩餐の話しに行く




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