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一万円カレーを食す!



●いざ、銀座8丁目へ

 銀座8丁目。中央通りに面した一角に立つピンク色のビル。ここに、昭和2年より新宿中村屋とともにつねに人気を博してきた高級レストランカレーの草分け的存在、資生堂パーラーがある。

 感慨にひたりながら、ビルの中に入る。1階はショップになっているようだ。インテリアはもちろん、売っている商品のどれもが、とてもオシャレなデザインである。さすが、銀座はあか抜けている(死語)。煤けた居酒屋のカウンターが好きな私には、なかなか無縁の世界が広がっている。

 資生堂パーラーは、4階と5階なのでエレベーターへと向かう。すると、エレベーター前で、きれいなおねーさんが二人も出迎えてくれた。

 「いらっしゃいませ」

curry-1 スラッとした体躯を少し傾けて丁寧なお辞儀をしてくれたおねーさんたちは、我々の傘を預かってくれたのだが、私のは何年も使い込んだ泥にまみれたような傘だし、相棒のは300円もしないようなビニール傘である。少し恥ずかしくなって、そそくさとエレベータに乗り込んだ。が、スペイン人による設計のエレベーターは、なんだか前衛的な作りで、「閉」ボタンの位置が良く分からない。扉が自動的に閉まるまでの数秒間が、永遠の時のように感じられた。

 わしさん(私ではなく、「わし」というハンドルネーム)が、恨めしそうに呟く。

 「だからチミ、ちょっと小奇麗な格好で来たんだね」

 一応、ジャケットを着てきた私と対照的に、ジャケットはジャケットでも、ユニクロのダウンジャケットを着てきた彼は、ダウンジャケットから羽が飛び出していることをしきりに気にしているようだった。

 「あ、毛が出ちゃってる。毛が出ちゃってるよっ」

 私はその声を聞き、彼の頭部を見詰めながら思った。(毛は生えてないし。それに毛じゃなくて、羽だし・・・)突っ込みどころ満載で、逆に何も言えなかったのであった(内輪受けです。スンマセン)。

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