![]() |
究極の嗅覚先日、味覚は先天的な能力だと書いたが、嗅覚も先天的な能力だろう。 有名なエピソードを紹介しよう。かつてバランタインのマスターブレンダーであったジャック・ガウディにまつわる話である。(ちなみにブレンダーとは、ブレンデッド・ウィスキーのブレンド具合を決めたり、樽の中のウィスキーの品質管理を行なったりする職種である。また、下記のエピソードに出てくるノージングとは、ウィスキーの香りを鼻で嗅ぐことである。ブレンダーは、ブレンドする際、ウィスキーを実際にテイスティングしたりはしない。約50〜100種類ものウィスキーを飲んでいたら、酔っぱらって仕事にならないからである。そのかわり、鼻が人並みはずれて優れている。現在のバランタインのマスターブレンダーであるロバート・ヒックスは、4,000種類以上の香りを記憶し、飲料水中の石灰分をPPM(百万分の1)単位で嗅ぎ分けるという。下記エピソードのジャック・ガウディは、そのロバート・ヒックスの師匠にあたり、伝説のブレンダーといわれている人物である) 『ジャック・ガウディはある日、あるシングルモルトをノージングしていて眉をひそめた。そのモルトに今までなかった香りが混ざっていたからである。その香りはある種の草のアロマだった。ウィスキーに草のような香りは珍しくないがその匂いはもっと特殊なものだった。そのモルトはハイランド最北端、プルトニー蒸溜所のもの。ほのかな甘み。ピートの香り。海岸の潮の香り。確かにプルトニー蒸溜所の特徴がちゃんと備わっている。しかし、確かにどこかが違う。ある野の花の香りが確実に混ざっている。ジャックは電話をとり、当時のバランタイン社の社長トム・スコットに報告し相談した。トムはプルトニー蒸溜所の品質管理の厳格さをよく知っている。だからいくら伝説のブレンダーの言葉でもそれは信じられなかった。ジャックが混ざっていると確信していたのはサクラソウの香りだった。サクラソウは、スコットランドでは希少な種で、ほとんど目にすることはない。園芸に詳しかったトムは笑い飛ばした。トムは言った「ジャック、プルトニーに野の花が入り込むなんてあり得ないことだ」。ジャック「悪いが、それがあり得るんだ」。ジャックは特別の調査チームをつくり、プルトニー蒸溜所付近を調べた。しかし、サクラソウに似た植物すら発見できなかった。最後に蒸溜所の水源を調べることにした。そしてとうとうヘンブリッグス湖から蒸溜所へ通じる水路でサクラソウの群生を見つけたのである。この群生は学術的にも貴重なものだったため、それ以後保護地区になっている』(ザ・スコッチ グレアム・ノウン著 TBSブリタニカ刊) まぁ、こんな人は100人に1人どころか十数億人に1人だろーな。 |
|
About Us | Mail to Webmaster Copyright 2001-2005 Good-Beer-Life. All rights reserved. |