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正しい蕎麦の食べ方


 季節外れの話しだが、正しい蕎麦の食べ方を紹介しよう。

 蕎麦をたぐって、その先っちょを、チョコンとツユに漬けて、ズズッと一気にススる。これが通の食べ方だとされてきた。現代ではどうだろうか。昔の蕎麦ツユは濃くて辛かったから、そういう食べ方が合っていた(実際、長い歴史を持つお蕎麦屋さんでは、そうした食べ方をした方が合っていると思う)。

 しかしながら、最近の蕎麦屋のツユはだいたい薄味である。それに昔の蕎麦は小麦粉を2割ほど混ぜていたが、今は十割蕎麦、あるいは小麦粉を混ぜたとしても0.5から1割程度であるところが多い。昔よりも蕎麦の香りを楽しめるようになっている。だから香りを邪魔しないようにという考え方から、薄いツユが流行っているみたいなのだが、そういう軟弱なツユに、蕎麦のはしっこをチョコンと漬けて食べても美味しくない。かといって、どっぷり浸してしまうとせっかくの蕎麦の香りが失われてしまう。それに薄いツユに、蕎麦をつけていると、すぐにツユが薄まってしまう。腰がくだけた味になってしまうのだ。一体、現代風の趣味蕎麦をどのようにして食べれば良いのか、悩んだ時期があった(私だけ?)。

 私なりの結論は、こうだ。まず、何にもつけず、麺だけを味わう。よく「最初の一口は、何にもつけずにどうぞ」と言われるが、最初の一口どころか、ずっと何にもつけないで麺だけを食べる。ちなみに、せいろ一枚くらいなら何にもつけずに食べられる蕎麦じゃないと、私は美味しいとは認めないが、どこまでツユにつけないで堪えられるかは、人それぞれだろう。

 蕎麦だけを食べていると、きっとお腹が水っぽくなってくる。蕎麦の周りについた水分によって、体内の塩分濃度が薄まってくるのだ。そういう処までくると、身体が自然に塩分を欲するようになる。自分の身体の調子に耳を傾けていれば、そのタイミングがわかるはずだ。そうしたら、麺をツユにつけて食べる、のではなく、ツユをほんの少しだけ、ススル。原液のまま、飲んでしまうのである。昔風の濃いツユはちっとキツイけれど、最近の薄いツユなら全然平気である。逆にその方が、わざわざ店主が薄めに調整してくれている、ツユの本来の美味しさが味わえる。体内の塩分濃度も高まりやすい。こうして身体が調整されたら、また蕎麦を何もつけずに食べる。お腹が水っぽくなったら、またツユをススル。この繰り返しである。

 こうすることによって、蕎麦は蕎麦本来の香りや味を楽しむことができる。そして蕎麦をツユにつけたら、ツユが薄いと感じるが、原液のままススルことで、濃いツユとして味わうことができる。もちろん、ツユが薄まる心配もない。

 ちなみに、蕎麦もうどんも、ある程度は嚼んだ方が(咀嚼した方が)美味しいと思う。喉越しも重要だが、人間はだ液と食物が混じって舌の上の乳頭(センサー)に触れることで、はじめて味覚を感知できるからである。蕎麦を飲み込むだけでは、味はしないハズだ。だから、麺の3分の1か、半分くらいを嚼んで、残りは喉越しで味わうというのが良いのではないかと思う。

 蕎麦の新しい食べ方の提案である。


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bottan
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